スキンブースターの次世代型「PN製剤」とは?
肌のエイジングケアは、単なる保湿やボリュームアップから、「肌そのものを再構築するアプローチ」へと進化を遂げています。その中心にあるのが、「PN(ポリヌクレオチド)」という再生医療由来の成分です。PN製剤は、肌に注入された成分が、“肌にダメージがあった”と細胞に勘違いさせることで、細胞が修復・再生を始めるスイッチが入ります。その結果、肌が内側から元気を取り戻し、肌質改善へと繋がります。
PN製剤の中でも最近注目されているのが、ヨーロッパのCE認証を取得し、成分の安全性と効果が科学的に裏付けられた ”プルリアルデンシファイ(PLURYAL DENSIFY)”です。本コラムでは、同じくPNを主成分とする有名製剤のリジュランと比較しながら、成分・作用・特徴・適応についてを詳しく掘り下げていきます。
①プルリアル【Densify】の成分と特徴
開発国:ルクセンブルク(MD Skin Solutions社)
認証:CE認証取得(欧州基準の安全性・品質規格)
配合成分と主な効果
主な効果 | |
ポリヌクレオチド(PN) | 細胞再生、抗炎症、ハリ弾力アップ、コラーゲン産生 |
非架橋ヒアルロン酸 | 即効性のある保湿、ボリュームアップ |
マンニトール | 強力抗酸化作用、分解抑制、効果の持続性向上、痛み緩和 |
作用メカニズム・特徴
- PNはサーモン精巣由来のDNA断片です。また、天然のサーモンから抽出しており、品質も安心安全です。
- マンニトールは活性酸素を除去し、肌細胞を酸化ストレスから保護します。また、炎症を抑えながらPN・ヒアルロン酸の効果を安定化と、持続性も高めます。
- 非架橋HAは即時的な保湿・ふくらみを補強し、PNの作用と協働します。
- 即効性+持続性を両立した構成です。特に敏感肌対応・ダウンタイム抑制・長期的効果を重視する方におすすめします。
リジュラン【Skin Booster】の成分と特徴
開発国:韓国(Pharmaresearch社)
認証:MFDS承認(韓国食品医薬品安全処)
配合成分と主な効果
主な効果 | |
ポリデオキシヌクレオチド(cーPDND) | 細胞修復、バリア機能改善、抗炎症 |
非架橋ヒアルロン酸 | 即効性のある保湿、水分保持 |
4種のアミノ酸 | コラーゲン、エラスチンの生成促進、タンパク質の合成サポート |
作用メカニズム・特徴
- c-PDRN(PNを加水分解されたDNA断片)は皮膚細胞の再生と抗炎症作用に優れ、赤み・ニキビ跡・色むらの改善にアプローチします。プルリアルよりも分子サイズが細かく、皮膚科施術で使用されることもあります。
- アミノ酸がコラーゲンやエラスチンの合成をサポートし、肌の基礎土台力を強化してくれます。
- 肌の回復力や修復力を底上げしたい方、炎症後の肌リセットを目的とする方におすすめです。
結局どちらのPN製剤を選んだらいい?
代表的な2製剤「プルリアル デンシファイ」と「リジュラン スキンブースター」は、主成分がPN製剤ということもあり、それぞれ細胞再生、抗炎症作用を備えていますが、その他成分で異なる特長があり、肌悩みや目的によって選び方が異なります。
比較項目 | プルリアル | リジュラン |
主成分 | PN+非架橋HA+マンニトール | c-PDRN+非架橋HA+4種アミノ酸 |
抗炎症・鎮静効果 | ◎ PN+マンニトールで相乗作用 | ○ c-PDRNが反応 |
保湿・即時効果 | ◎ HA+マンニトールで相乗作用 | ○ HAのみ |
再生・修復力 | ◎ 細胞修復、再生 | ◎ 細胞修復、バリア機能強化 |
効果の持続性 | ◎ マンニトールで持続力アップ | ○ 継続注入が基本 |
料金相場 | ○ 6〜8万円 | ◎ 5〜7万円 |
推奨する人 | 肌悩みが複合的な方/敏感肌/ダウンタイムを避けたい方 | ニキビ跡/赤み/初期エイジングケアをしたい若年層の方 |
プルリアル デンシファイが向いている方
✔ 肌の乾燥・小ジワ・くすみ・たるみが複合的に気になる
✔ 赤みや刺激に弱い敏感肌タイプ
✔ 注入後のダウンタイムや副反応が気になる方
✔ 効果の持続性を重視したい方
✔ 肌の透明感・ハリ感・全体の底上げを目指したい
→ マンニトールによる抗酸化・抗炎症作用で、優しいかつ最大限の効果が欲しい方。
→ トータルエイジングケアやメンテナンス治療にも◎
リジュラン スキンブースターが向いている方
✔ ニキビ跡や赤みなど、肌ダメージの修復が主目的
✔ 炎症トラブルや施術後の回復促進を期待する方
✔ 美白・くすみ改善にも関心がある方
✔ 比較的若年層で初期エイジングケアを始めたい方
→ PNに加えてアミノ酸が配合され、肌の栄養補給や再構築に特化。
→ 赤みや色ムラのある肌、繰り返すニキビの跡などに◎
PN製剤進化の両極、「統合型」か「修復特化型」か
プルリアルデンシファイとリジュランは、いずれも肌の再構築を目的としたPN製剤です。ただしその設計思想は異なり、
- プルリアルは:持続性・抗酸化・快適性を重視したトータル美肌製剤
- リジュランは:皮膚修復・再生にフォーカスしたシンプルな再生特化型
肌悩みが複合的で、持続性や赤みへの配慮も必要とする場合は、プルリアルデンシファイの選択が非常に理にかなっています。今回はPN製剤について解説しましたが、お悩み、目的、予算に応じて、ネクサスクリニックでは様々な製剤をご用意しております。
美容医療は「自分に合ったカスタマイズ」の時代へ。適切な製剤選択で、治療の質も仕上がりも大きく変わります。

医師 富岡 さゆり
東邦大学大橋病院麻酔科を経て大手美容皮膚科で経験を積み、都内院長に就任。
自分自身がとても肌に悩んできた経験から「遠回りしない、適切な美容医療」で患者様を幸せにしたいと切に思って誠実な診療を心がけている。
治療機器や注入施術の豊富な経験はもちろんのこと、個々に合ったスキンケアや根拠に基づいた栄養医学で体内外から"歳を重ねても美しい肌"を患者様と共に作ることに励む。
注入やスレッドで似合わせアンチエイジングも得意とし、プライベートでは一児の母である。