
エラボトックスは、手軽にフェイスラインをすっきり見せられる施術として多くの方に選ばれています。一方で、SNSなどでは「思ったような変化が出なかった」「噛みにくくなった」など、不安になる情報を目にすることもあるかもしれません。
施術を安心して受けるためには、メリットだけでなく起こりうるデメリットや副作用を正しく理解しておくことが大切です。今回は、エラボトックスで注意したいポイントと、失敗を避けるためのコツをわかりやすく解説します。
エラボトックスとは
エラボトックスは、エラの張りの原因となる『咬筋(こうきん)』という筋肉の働きをやわらげ、小顔効果を狙う施術です。咬筋は噛むときに使う筋肉で、食いしばりや歯ぎしりの癖がある方は特に発達しやすく、フェイスラインを大きく見せてしまうことがあります。
この咬筋にボツリヌストキシンを注入すると、筋肉の収縮が徐々に弱まり、時間をかけてサイズが小さくなっていきます。メスを使わず10〜15分ほどで終わるため、気軽に受けられるのも特徴です。
効果が出始めるのは施術後1〜2週間ほど経ってからで、最も変化を実感しやすいのは1ヶ月前後。持続期間は3〜6ヶ月程度で、時間の経過とともに自然に元の状態へ戻っていきます。
エラボトックスで得られる効果
咬筋がしっかりしている方は、エラボトックスで筋肉がほどよく縮むと、フェイスラインが自然に引き締まっていきます。横顔のシルエットが整い、「写真映りが良くなった」と感じる方も多い施術です。
特に、丸顔やホームベース型の輪郭が気になっている方は、エラの張りが軽くなることでお顔全体がすっきりした印象になります。手術のような大きなダウンタイムがなく、少しずつ変化していくため、周囲に気づかれにくいのも嬉しいポイントです。
歯ぎしり・食いしばりの改善
エラボトックスは美容目的だけでなく、歯ぎしりや食いしばりの改善にも効果が期待できます。咬筋の働きが和らぐことで、無意識に行っていた歯ぎしりや食いしばりの頻度や強さが軽減されます。
歯ぎしりや食いしばりのクセが続くと、歯がすり減る原因になるほか、顎関節症、肩こり、頭痛などにつながることもあります。マウスピースが合わない場合や装着が負担に感じる方にとって、エラボトックスは負担の少ない選択肢として検討しやすい治療です。
肩こりや頭痛の軽減
食いしばりがクセになっている方は、エラの筋肉(咬筋)に常に力が入っている状態になりやすく、その緊張が首や肩にまで伝わって、肩こりや頭痛につながることがあります。
エラボトックスで筋肉の力みがゆるむと、肩こりが軽減したり、頭痛が軽くなったと感じる方もいます。朝起きたときの顎のだるさが減ったり、眠りの質が良くなるケースもあります。
食いしばりによる不調が気になっている方にとって、エラボトックスは一つの選択肢になる施術です。

知っておきたいデメリット
効果は永続的ではない
エラボトックスの効果は一時的なもので、3ヶ月〜6ヶ月程度で徐々に元に戻っていきます。効果を維持したい場合は、定期的に施術を受ける必要があります。手軽さがある反面、半永久的な効果が欲しい方はや、施術を繰り返すことに抵抗がある方にとってはデメリットに感じるかもしれません。
即効性がない
ボトックスは注射してすぐに変化が現れる施術ではありません。施術後3日ほどで筋肉の動きが徐々に弱まり、1ヶ月かほどかけてエラの張りが目立たなくなっていきます。特にエラボトックスは、表情シワに対するボトックスと比較すると、効果は徐々に現れる傾向があります。短期間で劇的な変化を求めるのは難しく、大切なイベントや結婚式などを控えている場合は、余裕を持って1ヶ月半〜2ヶ月前には施術を受けておくと安心です。
噛む力が弱くなることがある
咬筋は食べ物を噛むときに使う筋肉です。ボトックスによって筋肉の働きが弱まるため、施術後数日から1週間程度は、硬いものを噛みづらく感じることがあります。
ただし、噛む動作には咬筋以外にも側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋といった筋肉が関わっており、咬筋の働きが弱まっても他の筋肉が補ってくれます。噛みづらさのピークは施術後2〜4週間程度で、その後は徐々に慣れていき、日常生活で支障をきたすことはほとんどありません。
頬がこけて見えることがある
エラボトックスによって咬筋が小さくなると、頬骨が相対的に目立って、頬がこけて見えることがあります。特に年配の方や皮膚が薄い方、もともと頬の脂肪が少ない方は、この変化が出やすい傾向があります。
また、過剰に注入を繰り返すと、頬の皮膚が余ってたるんで見えてしまうこともあります。適切な量を守り、医師と相談しながら施術を受けることが大切です。
骨格が原因の場合は効果が限定的
エラの張りは、筋肉だけでなく骨格や脂肪の影響によって起こることもあります。エラボトックスは筋肉に働きかける施術なので、骨格が原因の場合は効果が限定的です。
自分のエラ張りが筋肉によるものか簡単に確認するには、奥歯を噛みしめてエラの部分が盛り上がるかをチェックしてみてください。盛り上がる場合は筋肉が原因の可能性が高く、あまり変化がない場合は骨格の影響かもしれません。判断に迷う場合は、カウンセリングで医師に相談するのが安心です。
起こりうる副作用とリスク
内出血・腫れ
エラボトックスは咬筋という深い位置の筋肉に注射するため、表情筋ボトックスよりも内出血が起こりにくい傾向があります。とはいえ、注射である以上、内出血や腫れが出る可能性はゼロではありません。
内出血は青あざのように見えることがありますが、多くはメイクで隠せる程度で、1〜2週間ほどで自然に消えます。腫れも数日以内に落ち着くことがほとんどです。
施術当日の飲酒や長時間の入浴は症状を悪化させることがあるため控えましょう。
頭痛やだるさ
施術後、筋肉のバランスが変化することで、一時的に頭痛やだるさを感じることがあります。普段は使っていない筋肉を動かすようになったことが原因で、数日間にわたって継続的に起こる可能性もありますが、ほとんどの場合は自然に治まっていきます。
症状が強い場合や長引く場合は、施術を受けたクリニックに相談することをおすすめします。
フェイスラインのたるみ
適切な量を守らずに過剰に注入を繰り返すと、咬筋が過度に萎縮して、フェイスラインがたるんで見えることがあります。特に年齢を重ねた方は、皮膚の弾力が低下しているため、たるみが目立ちやすくなります。
何度も繰り返し注入していると、自分では不自然さに気づきにくくなることもあるため、医師の意見を聞きながら適切な頻度と量を守ることが重要です。

よくある質問
Q: デメリットを回避する方法はありますか?
A: 経験豊富な医師を選び、カウンセリングで「エラ張りの原因」が筋肉なのか骨格なのかをしっかり見極めてもらうことが最も大切です。原因を把握しておくことで、「思ったより効果が出なかった」という失敗を避けられます。
初めての方は、少量から始めて調整する方法も安心です。足りなければ後から追加できますが、入れすぎると効果が切れるまで待つしかありません。自然な変化を目指すことで満足度も高くなります。
また、ネクサスクリニックでは通常量だけでなく、しっかり効果を出したい方向けのエラ倍量メニューもご用意しています。適切な量は筋肉の発達によって異なりますので、気になる点はお気軽にご相談ください。
Q: 失敗した場合はどうすればいいですか?
A: ボトックスの効果は永久ではないため、もし仕上がりに満足できなかった場合でも、3〜6ヶ月ほどで徐々に元の状態へ戻ります。早めに改善したい場合は、自己判断せず医師に相談してください。
Q: エラボトックスを受けられない人はいますか?
A: 妊娠中や授乳中の方、ボツリヌストキシンにアレルギーがある方、神経筋疾患のある方は施術を受けられません。また、アレルギー体質の方や自己免疫疾患のある方は、必ず事前に医師へご相談ください。さらに、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬など)を服用している場合は、内出血のリスクが高くなるため、必ず申し出るようにしましょう。
Q: エラボトックスはどのくらいの頻度で受けるべきですか?
A: 効果の持続期間は個人差がありますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月程度です。ただし、あまりに短い間隔で繰り返すと、抗体ができて効果が現れにくくなることもあるため、医師と相談しながら適切な頻度を決めましょう。
Q: 施術後に気をつけることはありますか?
A: 施術当日から3日程度は、激しい運動や長時間の入浴、サウナなど体温が上がる行為は控えてください。血行が良くなると、内出血や腫れが悪化する可能性があります。
また、注入部位を強く押したりマッサージしたりすると、ボトックスが周囲に広がって意図しない筋肉に作用することがあります。洗顔やスキンケアは優しく行い、施術後1週間程度は注入部位を刺激しないよう注意しましょう。
後悔しないために大切なこと
エラボトックスは、手軽にフェイスラインをすっきり見せられる人気の施術ですが、効果が永続ではないことや変化がゆっくり現れることなど、知っておきたいポイントもあります。また、エラ張りの原因が筋肉以外(骨格・脂肪)にある場合は効果が限定的になることもあるため、まずは自分の状態を正しく把握することがとても大切です。
そのためには、カウンセリングで丁寧に診断してくれる医師・クリニックを選ぶことが欠かせません。価格だけで判断せず、症例数や説明の分かりやすさを確認し、疑問点は遠慮なく相談しましょう。事前にデメリットやリスクまで理解しておくことで、必要以上に不安を抱えず、満足度の高い治療につながります。
医師 富岡 さゆり
東邦大学大橋病院麻酔科を経て大手美容皮膚科で経験を積み、都内院長に就任。
自分自身がとても肌に悩んできた経験から「遠回りしない、適切な美容医療」で患者様を幸せにしたいと切に思って誠実な診療を心がけている。
治療機器や注入施術の豊富な経験はもちろんのこと、個々に合ったスキンケアや根拠に基づいた栄養医学で体内外から"歳を重ねても美しい肌"を患者様と共に作ることに励む。
注入やスレッドで似合わせアンチエイジングも得意とし、プライベートでは一児の母である。