
美容医療の世界では、常に新しい技術や製剤が登場していますが、その中でも特に注目を集めているのが「プルリアル(Pluryal)」です。肌育製剤として革新的な効果を発揮するこの製剤には、実は複数の種類があり、それぞれに異なる特徴と適応部位があることをご存知でしょうか。今回は、プルリアルの各種類について詳しくご説明し、どの製剤がどのようなお悩みに適しているのかを明らかにしていきます。
プルリアルとは?
プルリアルは、ルクセンブルクのMD Skin Solutions社が開発した肌再生専用の製剤です。
EUで安全性が認められる「CEマーク」を取得しており、現在は世界20か国以上で使用されています。従来のヒアルロン酸フィラーとは異なり、肌そのものを再生・若返らせることに特化しているのが大きな特徴です。
プルリアルは、単に水分やコラーゲンを補うだけではありません。肌の水分量を高め、コラーゲン生成を促し、さらに肌が本来持つ自己修復力に働きかけるのが大きな特徴です。
つまり、一時的な潤いやハリを与えるのではなく、「肌そのものの力を底上げして持続的な美しさを実現する」=“肌育”という新しい発想を形にした製剤なのです。
また、基材にはサーモンDNA由来の分子「ポリヌクレオチド」を使用。タンパク質を完全に取り除いているため、アレルギーリスクが低く、安全性にも優れています。美容医療において最も大切な“安全性”の面で大きなアドバンテージを持つ点も、多くの医師や患者様から支持される理由です。
プルリアルの3つの種類
プルリアルには、お悩みや施術部位に合わせて選べる3種類のラインナップがあります。それぞれ成分や特性が異なり、医師が患者様のお肌の状態をしっかり診断した上で、最適なタイプを選びます。
プルリアル デンシファイ(Pluryal Densify)

配合成分
デンシファイは、皮膚の修復作用のあるポリヌクレオチド(PN)、潤いと弾力性を向上させる非架橋ヒアルロン酸、抗酸化作用とヒアルロン酸の分解を抑制するマンニトールの3つの成分で構成されています。この混合成分は、それぞれを単体で施術するよりも細胞や組織への刺激作用が高く、相乗効果によってより効率的な肌質改善が期待できます。
特徴と効果
サーモン由来の高純度ポリヌクレオチドは、細胞レベルで肌の修復と再構築をサポートします。不純物やタンパク質を可能な限り取り除いているため、炎症などのリスクを抑えながら、肌が本来持つ修復力を最大限に引き出すことができます。さらに、非架橋ヒアルロン酸は肌になじみやすく、施術直後から自然な潤いや弾力を実感できるのが特徴です。加えて、マンニトールは強力な抗酸化作用によって活性酸素から肌を守り、ヒアルロン酸の分解を抑制することで効果をより長く持続させます。
こんな方におすすめ
顔全体の乾燥やハリ不足、くすみ、小ジワなど複合的な肌悩みを抱えている方や、肌のトーンアップや質感改善を目指したい方に特におすすめです。初めて肌育製剤を試す方でも選びやすく、顔全体の若々しさを総合的に高めたい方に適しています。首やデコルテ、手の甲などへの応用も可能ですが、最も効果を実感しやすいのは顔全体の肌質改善です。
プルリアル バイオスカルプチャー(Pluryal Biosculpture)

配合成分
バイオスカルプチャーは、他のプルリアル製剤とは少し異なり、架橋ヒアルロン酸と非架橋ヒアルロン酸を組み合わせた特別な製剤です。3種類のヒアルロン酸(高分子60%・中分子30%・低分子10%)を絶妙なバランスで配合しており、それぞれ役割があります。高分子はボリュームアップと効果の持続、中分子は長く続く保湿、低分子はコラーゲン生成を促し肌質改善をサポートします。これにより、しなやかでハリのある肌へと導きます。
特徴と効果
ヒアルロン酸は分子の大きさによって役割が少しずつ違い、それぞれが力を合わせることで立体的で多層的な効果が期待できます。架橋ヒアルロン酸は体内でゆっくり分解されるので、長く効果を保つことができます。一方、非架橋ヒアルロン酸は肌になじみやすく、自然な仕上がりに。硬くなりすぎず、動きの多い部分でも違和感なくなじむのが特徴です。
こんな方におすすめ
首の横じわや手の甲のしわが気になり始めた方に特におすすめです。首はよく動く部位なので、柔軟性と持続力の両方が求められますが、バイオスカルプチャーはその両方にしっかり応えます。さらに、頬のボリュームを自然に補うことで、頬が少しこけてきた、フェイスラインが下がってきたと感じる方にもぴったりです。
プルリアル シルク(Pluryal Silk)

配合成分
シルクは、世界で初めて目元専用としてCE承認を取得したポリヌクレオチド(PN)製剤です。デリケートな目元にも安心して使えるよう、ポリヌクレオチドだけでシンプルに作られています。余計な成分を加えないことで、敏感な目元にもやさしく、しっかりとした効果を感じていただけます。
特徴と効果
真皮のコラーゲン量を増やして密度を高め、真皮をふっくらさせることで、クマやシワ、小じわの改善が期待できます。目元のクマは、皮膚が薄いことや血管の透け感が原因になっていることが多いですが、真皮を厚くすることで根本的な改善につながります。ポリヌクレオチドの働きによって肌そのものを再生させるため、自然で長く続く効果が目指せます。
こんな方におすすめ
目の下のクマが気になる方や、目元・口元の小じわが目立ってきた方、デリケートな部位の施術を希望される方にぴったりです。「目元の治療は怖い」「不自然にならないか心配」といった方にとっても、シルクは安心して選べる理想的な選択肢です。皮膚の薄い部分ならではのお悩みに対しても、安全でやさしく、しっかりと効果的にアプローチできます。
プルリアルシリーズの共通する強み
3つの製剤にはそれぞれ特徴がありますが、プルリアルシリーズには共通の強みもあります。まず、いずれもCE承認を取得しており、EU加盟国の厳しい安全基準をクリアしている点です。また、タンパク質を完全に取り除いているため、アレルギーのリスクも低くなっています。
さらに、どの製剤も肌の自己修復力を高めることを目的としており、一時的なケアではなく、長期的に肌質を向上させるアプローチを採っています。表面的なケアだけでなく、根本から肌を整えて健康にしていくことが、美しさを手に入れるうえでとても大切なポイントです。
加えて、施術後のダウンタイムが比較的短いのもプルリアルシリーズの魅力。日常生活への影響を最小限に抑えながら、しっかりと効果を感じられるのは、忙しい方にとってうれしいポイントです。
施術を受ける際の注意点
プルリアルは安全性の高い製剤ですが、施術を受ける際にはいくつかの注意点があります。施術後は、注入した部分に軽い腫れや赤み、内出血が出ることがありますが、これは正常な反応で、多くの場合1〜2週間で落ち着きます。大切な予定の直前の施術は避け、余裕をもったスケジュールで受けることをおすすめします。
また、効果をしっかり実感するためには、医師の指示に沿った施術回数や間隔を守ることが大切です。デンシファイやシルクは1か月ごとに3回、バイオスカルプチャーは1か月ごとに2回の施術が推奨されており、計画的に行うことでより満足度の高い結果が期待できます。
理想の肌を手に入れるために
プルリアルシリーズは、それぞれ特徴の異なる3つの製剤で構成されており、多様な肌のお悩みに対応できるトータルケアの治療システムです。デンシファイは顔全体の肌質を総合的に整え、シルクはデリケートな目元などに特化、バイオスカルプチャーは首のしわに効果を発揮します。これらを上手に使い分けることで、一人ひとりに合った最適な治療が可能です。
「肌育」という考え方は、表面を美しく見せるだけでなく、肌そのものの健康と美しさを底上げする本質的なアプローチです。プルリアルは、この考え方を実現する製剤として、多くの方の美しさをしっかりサポートしています。
美容医療は日々進化しており、プルリアルのような革新的な製剤によって、これまで難しかったお悩みにもアプローチできるようになりました。どの製剤が最適かは専門的な診断が必要ですので、まずは医師によるカウンセリングを受けて、あなたにぴったりの治療プランを一緒に考えていきましょう。

医師 富岡 さゆり
東邦大学大橋病院麻酔科を経て大手美容皮膚科で経験を積み、都内院長に就任。
自分自身がとても肌に悩んできた経験から「遠回りしない、適切な美容医療」で患者様を幸せにしたいと切に思って誠実な診療を心がけている。
治療機器や注入施術の豊富な経験はもちろんのこと、個々に合ったスキンケアや根拠に基づいた栄養医学で体内外から"歳を重ねても美しい肌"を患者様と共に作ることに励む。
注入やスレッドで似合わせアンチエイジングも得意とし、プライベートでは一児の母である。