銀座 美容外科 ネクサスクリニック 10:00-18:30(不定休)

ピコトーニングで肝斑は治る?効果・回数・注意点を解説

前回のコラムでは、ピコスポット治療についてご紹介しました。はっきりとしたシミをピンポイントで除去できる一方で、「肝斑には照射できない」という注意点もありました。そこで今回は、肝斑治療の新たな選択肢として注目される「ピコトーニング」について詳しくご紹介します。

ピコトーニングとは? – 優しく全体をトーンアップ

ピコトーニングは、ピコレーザーの照射モードの一つで、低出力のレーザーを顔全体に均一に照射する治療法です。ピコスポットが「高出力でピンポイント照射」なのに対し、ピコトーニングは「低出力で全体照射」という点が大きな違いです。

ピコ(1兆分の1)秒という超短時間でレーザーを照射し、熱ダメージを最小限に抑えながらメラニンを少しずつ減らしていきます。そのため、痛みや炎症後色素沈着のリスクが低く、ダウンタイムもほとんどありません。また、シミやくすみを穏やかに薄くしながら、肌細胞を活性化してキメやハリを整える効果も期待できます。何より、これまでレーザー治療が難しかった肝斑にも照射できることが、ピコトーニング最大の魅力です。当院では、厚生労働省および米国FDAの承認を受けた「エンライトンSR」を使用しています。

ピコスポットとの違いは?

前回のコラムでもお伝えした通り、ピコスポットとピコトーニングは同じピコレーザーを使用しながら、まったく異なるアプローチを行います。ピコスポットは高出力でメラニンを一気に粉砕するため、はっきりとしたシミに効果的です。ただし、その強い刺激が肝斑を悪化させるリスクがあるため、肝斑がある方には向きません。

一方、ピコトーニングは低出力でメラニンを少しずつ減らす治療です。メラノサイト(メラニンを作る細胞)を刺激しにくいため、肝斑のように刺激に敏感なタイプのシミにも安全にアプローチできます。

どちらが優れているかではなく、シミの種類に合わせて使い分けることが大切です。

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なぜ肝斑にピコトーニングが効果的なのか

肝斑は、目尻の下や頬に左右対称に現れる、境界のぼんやりとしたシミです。ホルモンバランスの変化や紫外線、摩擦などが主な原因とされ、30〜50代の女性に多く見られます。

従来のレーザー治療では、高出力の照射によってメラノサイト(メラニンを作る細胞)を刺激し、かえって肝斑を濃くしてしまうリスクがありました。

一方、ピコトーニングは低出力のレーザーを均一に照射し、メラノサイトを刺激せずに表皮のメラニンを少しずつ減らすことができます。肝斑は肌の浅い層にメラニンが広がるため、ピコトーニングによる穏やかな照射で、時間をかけて丁寧に改善していくことが大切です。

ピコトーニングで期待できる効果

ピコトーニングは、肝斑治療だけでなく、様々な肌悩みに効果を発揮します。

肝斑の改善

最大の特徴である肝斑治療。低出力照射を複数回繰り返すことで、悪化のリスクを抑えながら、徐々に肝斑を薄くしていくことができます。

肌全体の美白効果

顔全体にレーザーを照射するため、気になっていたシミだけでなく、全体的なくすみも改善されます。肌のトーンが明るく均一になり、透明感のある肌へと導かれます。

炎症後色素沈着の改善

ニキビ跡や傷跡による色素沈着が広範囲にある場合にも効果的です。ピコスポットでは照射範囲が限られますが、ピコトーニングであれば顔全体をケアできます。

毛穴の引き締め

レーザーが真皮層に働きかけることで、皮脂腺を引き締める効果も期待できます。その結果、肌のキメが整い、毛穴の目立たない滑らかな肌へと改善します。

肌質改善

レーザーを照射することで、メラニン生成を抑えるだけでなく、コラーゲンやエラスチンの生成も促進されます。肌にハリと弾力が生まれ、若々しい印象へと変化していきます。

施術の流れと経過

施術当日

洗顔でメイクを落とし、肌に何もついていない清潔な状態で照射を行います。レーザー照射自体は数分で完了します。ピコスポットのような高出力照射に比べると我慢できる範囲内の痛みとおっしゃいます。軽くゴムに弾かれるようなパチパチとする痛みに近いです。

施術後の経過

直後

軽い赤みやかゆみが出ることがあります。敏感肌の方では、まれに虫刺されのような膨隆疹が現れる場合もありますが、多くの場合、当日〜翌日には自然に改善していきます。施術当日は、血行が良くなるようなこと(入浴、サウナ、激しい運動)などは控えることを推奨します。

翌日〜1週間

痒みを伴う小さいブツブツ(炎症・毛嚢炎)やニキビ、膨隆疹ができることがあります。これはレーザー刺激による一時的な肌の反応で、保湿やクーリングをすることで数日間から1週間程度で自然に治まります。改善が見られない場合は、早めにクリニックに相談しましょう。

ピコトーニングはダウンタイムが少なく、日常生活への影響がほとんどない施術です。ピコスポットのようにシミ部分が一時的に濃くなることもなく、施術直後からメイクが可能なため、普段通りにお過ごしいただけます。

施術回数と間隔の目安

ピコトーニングは、1回の施術で劇的な変化をもたらす治療ではありません。回数を重ねることで、徐々に効果を実感していただく治療です。

基本的な施術スケジュール

ピコトーニングは、2週間に1回の間隔で約10回程度繰り返し施術を行うことで、より高い効果を実感していただけます。多くの方は、3〜4回目の施術後あたりから「肌が明るくなってきた」と変化を感じられます。

効果の持続について

施術を中止すると、6ヶ月程度で効果の衰えを感じる方もいらっしゃいます。ただし、施術をやめたからといって急に悪化するわけではありません。紫外線対策や保湿ケア、内服薬の継続など、日々のケアをしっかり行うことで、効果をより長く維持することができます。

お悩みが解消された後も、良い状態を保つために1〜2ヶ月に1回のペースで定期的なメンテナンスを行うことで、シミの再発を防ぎ、透明感のある明るい肌を維持することができます。

内服薬との併用が効果を高める

肝斑が見られる方には、原則として内服治療を併用します。ピコトーニングと内服薬を組み合わせることで、相乗的な効果が期待できるためです。

トラネキサム酸やビタミンCなどの内服薬には、体の内側からメラニンの生成を抑える作用があります。
つまり、ピコトーニングで肌表面のメラニンを除去しながら、内服薬で新たなメラニンの発生を防ぐという、外と内の両方向からのアプローチが可能になります。

施術後のケアで効果が変わる

ピコトーニングの効果を最大限に引き出すためには、施術後のケアが欠かせません。

紫外線対策

施術後の肌は紫外線の影響を受けやすく、敏感な状態になっています。

日焼け止めを毎日しっかり使用し、帽子やサングラスで紫外線から肌を守りましょう。紫外線対策を怠ると、新たなシミや肝斑の発生、薄くなったシミの再発につながることがあります。

外での活動が多い日は、こまめな日焼け止めの塗り直しも意識することが大切です。

保湿ケア

施術後の肌は乾燥しやすく、バリア機能が一時的に低下しています。十分な保湿ケアを行うことで、肌のターンオーバーを正常に保ち、治療効果をより高めることができます。

また、施術前の肌が乾燥していると、レーザーの反応が不安定になり、効果が十分に発揮されないことがあります。ピコトーニングの前後は、保湿を意識したスキンケアを心がけましょう。

摩擦を避ける

肝斑は、摩擦によっても悪化することがあります。洗顔の際は低刺激の洗顔料を選び、手でこすらず、たっぷりの泡で包み込むように優しく洗いましょう。スクラブ洗顔を使用する場合は、気になる毛穴部分のみにとどめ、肝斑のある部分は避けてください。

スキンケアの際も、肌をこすらないように丁寧に塗布し、タオルで顔を拭くときも押さえるように水分を取るのがポイントです。

ピコトーニングが向いている人

ピコトーニングは、以下のようなお悩みを持つ方に特におすすめです。

  • 肝斑でお悩みの方
  • 顔全体のくすみや肌トーンのムラが気になる方
  • 自然に明るい肌を目指したい方
  • ダウンタイムが取れない方(施術後すぐにメイク可能)
  • 薄いシミが広範囲にある方
  • 毛穴の開きや肌質改善も同時に叶えたい方
  • ピコスポットのように一時的に濃くなる反応を避けたい方

ピコトーニングは「少しずつ肌を整える」治療なので、目立つ赤みやかさぶたを作らず、ナチュラルにトーンアップしていけるのが特徴です。

他の治療との組み合わせ

ピコトーニングは単独でも十分な効果がありますが、他の治療と組み合わせることで、より満足度の高い結果が期待できます。

肝斑の上に老人性色素斑やそばかすが重なっている場合は、ピコスポットとの併用が有効です。肝斑はピコトーニングで落ち着かせ、表面のはっきりしたシミにはピコスポットでピンポイントにアプローチします。

さらに、レーザー照射後の肌は敏感な状態になるため、エレクトロポレーションによる鎮静ケアもおすすめです。回復を促し、肌への負担を最小限に抑えるため、ピコトーニング後にセットで行う方も多くいらっしゃいます。

優しく、確実に、美しく

ピコトーニングは、「肝斑が治せる」という画期的な効果だけでなく、肌全体を優しくトーンアップできる、とても魅力的な治療法です。回数を重ねるごとに、鏡を見るのが楽しみになっていく。そんな穏やかで確実な変化を感じられるのが、ピコトーニングの良さです。是非お気軽にカウンセリングにいらしてください。

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この記事の監修者
渡辺 佳奈

医師 渡辺 佳奈

東京慈恵会医科大学救急科を経て、都内美容皮膚科で経験を積む。
患者様が自分の素顔を好きになるお手伝いをライフワークとし、丁寧な診療を心がけている。レーザー、ドクターズコスメの知識を豊富に持ち、注入治療、外科手術も得意とする。
ポジティブエイジングとナチュラルな健康美をテーマに抗加齢学、美容皮膚科学の研鑽に励む。