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ハイドロキノンで消えるシミは?濃度の選び方について

シミ治療で大切なのは、施術だけで満足するのではなく、その後のホームケアまでしっかりと行うことです。毎日のスキンケアを丁寧に続けることで、治療効果を長く保ち、シミの再発を防ぐことができます。

今回は、そんなホームケアの中でも美白成分として長年支持されている「ハイドロキノン」についてご紹介します。「肌の漂白剤」とも呼ばれるほど強い美白効果を持つこの成分。どのようにシミへ働きかけるのか、そして安全に使うためのポイントを、詳しく解説していきます。

ハイドロキノンとは?

美白の定番として選ばれる理由

ハイドロキノンは、メラニンの生成を強力に抑える美白成分です。
紫外線や炎症などの刺激で活性化する酵素「チロシナーゼ」の働きを直接的に抑制し、シミや色素沈着の原因となるメラニンを“作らせない”という根本的なアプローチを行います。

その高い効果から、もともとは医療機関でのみ使用されていましたが、製剤技術の進歩により、2002年には日本でも化粧品への配合が認可されました。今ではホームケアでも取り入れやすくなり、医療レベルの高濃度タイプから、日常使いしやすい低濃度タイプまで幅広く開発が進みました。「できてしまったシミを薄くする」「新しいシミを防ぐ」両方の効果が期待できるため、多くの方が使用しています。

市販品とクリニック処方の違い

ハイドロキノンには、ドラッグストアやインターネットで購入できる市販品と、医療機関で処方される医薬品タイプがあります。

市販品は手軽に使える反面、配合濃度が1〜2%ほどと低く、効果を実感するまでに時間がかかることがあります。 一方で、クリニックで処方されるハイドロキノンは4〜5%前後と高濃度で、より早い美白効果が期待できます。

ただし、その分刺激も強くなるため、医師の診察のもとで肌の状態に合わせて使用することが大切です。肌質や目的に合わせて「どの濃度が合うか」を見極めることが、美しく安全に使うためのポイントとなります。

なぜシミに効くのか?

メラニン生成を抑えるメカニズム

紫外線を浴びると、肌はダメージから自分を守るために「メラニン」という色素を作り出します。

このメラニンを作っているのが、肌の奥にある「メラノサイト」という細胞です。通常は、ターンオーバー(肌の生まれ変わり)によって自然に排出されますが、紫外線を浴びすぎたり、生活リズムの乱れでターンオーバーが滞ると、メラニンが蓄積し、シミとして肌に残ってしまいます。

ハイドロキノンは、メラニン生成の要である「チロシナーゼ」という酵素の働きをブロックします。さらに、メラノサイトそのものの活性も抑えることで、メラニンの“過剰生産”を防ぐことができるのです。つまり、シミを「作らせない肌」に整える働きがあるんです。

既にあるシミへの効果

さらに嬉しいのは、すでにできてしまったシミにも効果を発揮すること。
ハイドロキノンには「還元作用」と呼ばれる働きがあり、沈着してしまったメラニンを無色に近い状態に戻してくれます。まさに“肌の漂白剤”と呼ばれるゆえんですね。

ただし、ハイドロキノンが届くのは主に表皮の浅い部分までです。
肌の深い層に沈着したシミ、色が濃いシミ、レーザー治療が必要なシミには、単独では十分な効果が得られないこともあります。その場合は、ハイドロキノン+施術治療の併用が、より確実な改善への近道となります。

濃度の違いと選び方

2%濃度:市販品で試せる低濃度

2%程度の低濃度ハイドロキノンは、刺激が少なく、安全性が高いと言われています。ドラッグストアやインターネットで購入できる市販品の多くはこの濃度が一般的です。

初めてハイドロキノンを使う方や、肌が弱い方は、まずこの濃度から試してみるのも良いでしょう。ただし、濃度が低い分、効果や即効性も低くなります。「このシミをしっかり消したい」と考えている場合は、物足りなさを感じるかもしれません。

また、肌が弱い方は、この濃度でも刺激を感じる場合がありますので、初めて使用する際は注意が必要です。

4%濃度:クリニック処方の標準

医療機関で処方されるハイドロキノンは、4%が一般的です。

美白効果と安全性のバランスがうまく取れており、しっかりと効果を感じたい方におすすめできます。

当院で取り扱っている製品も4%濃度を採用していますが、メーカーによって成分特徴が異なるため、肌の状態を見極めたうえでご提案しています。適切に使えば、肌のトーンを均一に整え、シミの再発を防ぐ効果も期待できます。

5%以上:効果は高いがリスクも

5%を超える高濃度のハイドロキノンは、確かに強い漂白効果を発揮しますが、その反面、副作用のリスクも上がります。特に注意したいのが「白斑(はくはん)」のリスクです。

白斑とは長期間・高濃度で使用を続けると、メラニンを作る細胞の働きが弱まり、肌の一部が白く抜けてしまう現象のことです。一度抜けてしまった色素を戻すの難しいため、自己判断で高濃度を使用するのは避け、必ず医師の指導のもとで使用しましょう。

ハイドロキノンが効くシミ、効かないシミ

効果が期待できるシミ

老人性色素斑(いわゆる一般的なシミ)
ハイドロキノンが特に効果を発揮しやすいのは、老人性色素斑です。長年の紫外線ダメージによってできる輪郭のはっきりした褐色のシミで、表皮の浅い層にメラニンがたまっているため、ハイドロキノンの還元作用が届きやすいとされています。

肝斑

治療が難しいと言われている肝斑にも効果が期待できます。
ただし、ホルモンバランスや摩擦などの影響で悪化しやすいため、ハイドロキノン単独での改善は難しいケースもあります。内服薬(トラネキサム酸など)との併用や、ピコトーニングなどの低出力レーザー治療を組み合わせることで、より安定した効果が見込めます。

炎症後色素沈着(ニキビ跡や傷跡のシミ)
傷、肌荒、炎症後のシミにも有効と言われています。
これらの色素沈着も、表皮にメラニンが留まっているタイプが多く、ハイドロキノンによる美白効果が期待できます。

効果が期待できないシミ

雀卵斑(そばかす)

このシミは遺伝的な要因が大きく、ハイドロキノン単独で十分な改善効果を期待することは難しいと言われています。このタイプは、レーザー治療の反応がとても良いため、レーザー後に炎症生色素沈着予防でハイドロキノンを使用することを推奨します。

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)

ADMは、他のシミと異なり、真皮の深い層にメラニンがあるシミです。まずは、ピコスポット照射で深い層へのレーザー照射が必要になります。そばかすと同じようレーザー後の炎症性色素沈着予防で使用することを推奨します。

また、扁平母斑や脂漏性角化症など、シミではなくアザやイボの一種であるため、ハイドロキノンでの治療は難しいとされています。「シミだと思っていたら、実は違った」ということもあるため、自己判断せず、医師の診断を受けることが大切です。

▶︎ あなたのシミの種類はどれ?

レーザー治療とハイドロキノンの組み合わせ

これまでのコラムでご紹介してきたピコスポット、ピコトーニング、ポテンツァといったレーザー治療と、ハイドロキノンを組み合わせることで、より高い効果が期待できます。

レーザー治療は、既にあるメラニンを破壊したり、メラノサイトの活性を抑えたりする「攻め」の治療。一方、ハイドロキノンは、新たなメラニンの生成を抑え、シミの再発を防ぐ「守り」のケアです。

この「攻め」と「守り」を組み合わせることで、シミを効果的に改善し、美しい肌を長く維持することができます。レーザー治療を受けた後は、適切なタイミングでハイドロキノンを使い始め、継続的にケアを続けることが大切です。

▶︎ ピコスポットでのシミ治療について

▶︎ ピコトーニングでのシミ治療について

自宅でも気軽に始められるシミ対策

ハイドロキノンは、正しい使い方を守れば、シミ治療の強力な味方となってくれます。濃度の選び方、塗るタイミング、紫外線対策、休薬期間の設定。これらをしっかりと守ることで、安全に、そして効果的にシミケアを続けることができます。

長年悩んできたシミも、適切な治療とホームケアの組み合わせで改善への道が開けます。ハイドロキノンについて疑問や不安があれば、いつでもご相談ください。あなたの肌に最適なケア方法を、一緒に考えていきましょう。

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この記事の監修者
渡辺 佳奈

医師 渡辺 佳奈

東京慈恵会医科大学救急科を経て、都内美容皮膚科で経験を積む。
患者様が自分の素顔を好きになるお手伝いをライフワークとし、丁寧な診療を心がけている。レーザー、ドクターズコスメの知識を豊富に持ち、注入治療、外科手術も得意とする。
ポジティブエイジングとナチュラルな健康美をテーマに抗加齢学、美容皮膚科学の研鑽に励む。