
「ボトックスを受けたいけれど、失敗したらどうしよう」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。美容医療は手軽に受けられるようになった一方で、施術に対する心配や副作用への疑問を抱えている方も多くいらっしゃいます。今回は、ボトックスで起こりうる失敗例とその原因、そして安心して施術を受けるために知っておきたいポイントをご紹介いたします。
ボトックス注射とは
ボトックスは、ボツリヌストキシンという成分を筋肉に注入することで、その筋肉の動きを一時的に和らげる施術です。神経から筋肉へ送られる信号をブロックすることで、額や眉間、目尻といった表情ジワが気になる部位や、エラの張り、多汗症など、さまざまな悩みに対応できる美容医療として広く知られています。
施術時間は数分程度と短く、ダウンタイムもほとんどないため、忙しい方でも気軽に受けられるのが特徴です。効果の持続期間は一般的に3〜6ヶ月程度で、徐々に元の状態に戻っていきます。そのため、効果を維持したい場合は定期的に施術を受ける必要があります。
よくある失敗例とその原因
ボトックスは正しく打てば理想の仕上がりを叶えられる一方で、注入の位置や量を誤ると「思っていたのと違う」と感じるケースもあります。
ここでは、よくある失敗例とその原因を分かりやすくご紹介します。
表情が硬くなる・不自然になる
ボトックスを適切な量よりも多く注入してしまうと、筋肉の動きが過度に抑制されて、表情が硬く不自然に見えることがあります。特に額や眉間に過剰に注入した場合、表情がこわばってしまい、周囲から「なんだか顔が動かないね」と言われてしまうことも。
また、注入する位置が適切でない場合も、筋肉のバランスが崩れて不自然な表情になりやすくなります。顔の筋肉は複雑に連動しているため、一部の筋肉の動きを抑えることで他の部分に影響が出てしまうのです。
まぶたが重くなる・目が開けにくくなる
額のボトックスで特に起こりやすいトラブルが、まぶたが重くなって目が開けにくくなるという症状です。額には眉を持ち上げる働きをする筋肉があり、日常的に無意識のうちにこの筋肉を使って目を開けている方がいらっしゃいます。
このような方が額にボトックスを注入すると、眉を持ち上げる力が弱まってしまい、まぶたが下がって重く感じられるようになります。もともと眼瞼下垂の傾向がある方は、この症状が出やすいため注意が必要です。
笑顔が引きつる
口元や、目・鼻周りへのボトックス注入で起こりやすいのが、笑ったときに顔が引きつってしまう症状です。注入量が多すぎたり、注入位置が適切でなかったりすると、笑顔に必要な筋肉の動きまで抑制されてしまいます。
口角を上げる施術の場合、口角を下げる筋肉だけでなく、周辺の筋肉にまで影響が及ぶと、笑顔が不自然になってしまうことがあります。自然な表情を保つためには、繊細な技術と経験が求められます。
デコボコになる
注射による内出血や腫れが強く出た場合、一時的に注入部位がデコボコとした状態になることがあります。これは施術直後から数日間に見られる症状で、通常は時間とともに自然に解消されていきます。
ただし、注射針を刺す深さや角度が適切でないと、内出血が起こりやすくなります。内出血は完全に防ぐことは難しいものの、経験豊富な医師による丁寧な施術によってリスクを最小限に抑えることができます。

失敗が起こる主な原因
仕上がりに違和感が出てしまうのには、いくつかの共通した理由があります。失敗を防ぐためにも、原因をしっかり理解しておくことが大切です。
注入量の調整ミス
ボトックスの効果は、注入量によって大きく変わります。筋肉の大きさや動き方は一人ひとり異なるため、同じ部位でも適切な量は人によって違います。注入量が少なすぎるとシワが残り、反対に多すぎると表情が固くなったり、違和感を感じやすくなります。
そうならないためにも、標準的な量を注入するのではなく、個々の筋肉の状態や表情のクセに合わせて調整してくれる医師を選ぶことが大切です。
注入位置や深さの誤り
顔の筋肉は何層にも重なっており、それぞれの筋肉が異なる役割を持っています。ボトックスを注入する位置や深さを誤ると、効かせたい筋肉ではなく、動かしたい筋肉の動きまで抑制してしまうことがあります。
解剖学的な知識と豊富な経験がなければ、適切な位置に正確に注入することは困難です。わずか数ミリのズレでも、仕上がりに大きな影響を与えることがあります。
顔の筋肉の動きの理解不足
表情は複数の筋肉が連動することで作られます。一つの筋肉だけを見るのではなく、顔全体の筋肉のバランスを理解したうえで施術を行わなければ、不自然な仕上がりになってしまいます。
特に、普段の表情の癖や筋肉の使い方には個人差があるため、カウンセリングで十分に状態を把握することが重要です。
もしも失敗してしまったら
ボトックスの効果は時間の経過とともに薄れていくため、仕上がりに違和感を感じても慌てる必要はありません。ここでは、失敗かも?と感じたときに知っておきたい対処法を紹介します。
まずはクリニックに相談を
施術後に違和感や気になる症状が出た場合は、できるだけ早く施術を受けたクリニックに相談しましょう。症状や経過を確認したうえで、適切な対処法を提案してもらえます。
自己判断でマッサージをしたり、他の施術を受けたりすることは避けてください。症状を悪化させる可能性があります。
時間とともに自然に回復する
ボトックスの効果は永続的ではありません。万が一仕上がりに満足できなかった場合でも、3〜4ヶ月程度で効果が薄れるため、時間とともに完全に元の状態に戻ります。
早期に改善したい場合は、アセチルコリン塩化物(オビソート)という薬剤を注射することで症状が緩和する場合もあります。ただし、この治療を受けられるかどうかは医師の判断によります。

失敗しないために大切なこと
ボトックス施術で理想の仕上がりを得るためには、医師の技術だけでなく、カウンセリングや自分自身の希望を正しく伝えることも大切です。
ここでは、失敗を防ぐために意識しておきたいポイントを紹介します。
経験豊富な医師を選ぶ
ボトックスは注射だけで完了する手軽な施術ですが、仕上がりには医師の技術や経験が大きく関わります。
表情筋の動きやバランスをしっかり理解している医師にお願いすることで、自然で満足度の高い仕上がりを目指せます。
また、クリニックのホームページで症例写真を見たり、医師の経歴や実績をチェックしておくのも安心です。
カウンセリングで十分に相談する
施術前のカウンセリングでは、ご自身の悩みや希望を丁寧に伝えることが大切です。
「どの部分をどんなふうに改善したいか」「どんな仕上がりを理想としているか」を、できるだけ具体的に共有しましょう。また、日ごろの表情のクセや気になる点、過去の美容施術の経験なども正直に伝えておくと安心です。こうした情報が、医師が最適な施術プランを立てるうえで大切なヒントとなります。
アフターケア体制を確認する
施術後に万が一トラブルが起きた場合、迅速に対応してもらえる体制が整っているかどうかも重要なポイントです。アフターケアがしっかりしているクリニックであれば、施術後の経過を丁寧に診察し、必要に応じて適切な処置を行ってくれます。
また、再診料が無料であったり、一定期間内の再施術に対応しているクリニックもあるため、事前に確認しておくと安心です。ネクサスクリニックでは、経過観察の予約には柔軟に対応し、万が一ボトックスの効果が弱い場合は無料で再注入できる保証制度つきのプランもご用意しております。
施術後の注意事項を守る
施術後3日間程度は、運動やサウナ、長時間の入浴といった体温が上がる行為は控えましょう。ボトックスは熱に弱い性質があるため、過度に体温が上がると効果が弱まってしまう可能性があります。
また、注入部位を強く押したり、マッサージすることも避けてください。ボトックスが周辺の筋肉に広がってしまい、意図しない部分にまで効果が及んでしまうことがあります。飲酒も血行を良くするため、施術当日は控えることをおすすめします。
安心してボトックスを受けていただくために
ボトックスは適切に施術を受ければ、安全性が高く効果的な美容医療です。信頼できる医師とクリニックを選び、十分なカウンセリングを受けることで、そのリスクは最小限に抑えることができます。
当院では、表情や筋肉の動き、骨格の特徴を丁寧に見極めたうえで、その方に最適な施術プランをご提案しております。ボトックスについて不安なことやわからないことがございましたら、どうぞ遠慮なくご相談ください。
医師 富岡 さゆり
東邦大学大橋病院麻酔科を経て大手美容皮膚科で経験を積み、都内院長に就任。
自分自身がとても肌に悩んできた経験から「遠回りしない、適切な美容医療」で患者様を幸せにしたいと切に思って誠実な診療を心がけている。
治療機器や注入施術の豊富な経験はもちろんのこと、個々に合ったスキンケアや根拠に基づいた栄養医学で体内外から"歳を重ねても美しい肌"を患者様と共に作ることに励む。
注入やスレッドで似合わせアンチエイジングも得意とし、プライベートでは一児の母である。